小児がん対策国民会議について

私たちは小児がんを取り巻く
環境の改善を目指します

共同代表 井上富美子

こどもも、赤ちゃんでさえも“がん‐小児がん”になることがあり、年間2,000人から2,500人に“がん”の診断がつきます。大人の罹患数に比べると非常に少ない数であることから治療薬が限られていたり、成人がんの治療薬や、欧米で当たり前に使用される小児がん治療薬が、日本ではこども達に使えないことがあります。

「あの薬があれば助かるかもしれない」と苦しむ家族の声を何度聞いたことでしょうか。

少ない罹患数だからと言って、小児がん治療薬の開発や承認、臨床試験の遅れは許されることではありません。

国民会議は、
① 小児がん治療薬の承認と開発促進を目指します。
② 闘病生活・長い療養環境を可能な限り改善し、小児がんの子ども達の明るい未来につなげる事を目指します。

一人でも多くの尊い命を救い、子どもたちの明るい未来を願い活動しております。全国の皆様からのご賛同の声、そしてお力を頂けますよう、心よりお願い申し上げます。

認定特定非営利活動法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ 名誉理事長

共同代表 真部 淳

 小児がんの治療成績は過去50年間に大きく改善しました。その理由として、診断学(画像診断、病理診断、遺伝子診断など)・集学的治療(化学療法、外科療法、放射線療法、骨髄移植など多分野の治療を組み合わせた治療)・支持療法(輸血、抗生物質の使用など)など多分野における進歩があげられます。また、治療法を改良するために、各施設が独自に治療を試みるのではなく、世界中で多施設グループ研究が行われてきました。具体例として、急性リンパ性白血病の治癒率は、1960年代には10%でしたが、現在では90%に達しています。生命予後が改善すると、次は小児がんを乗り越えた長期生存者の生活の質(Quality of life: QOL)を改善することが重要になります。たとえば、急性リンパ性白血病に対して、1970年代にはすべての患児に対して中枢神経白血病の予防のために頭蓋照射が行われていましたが、 認知能の低下、低身長などの晩期合併症がみられました。現在では中枢神経白血病のリスクの高い数%の症例に対してのみ頭蓋照射が行われており、また照射線量も減量されています。

このように小児がんの治療は素晴らしい進歩を遂げてきましたが、まだ問題は残ります。一つは新規治療の導入が滞っていることです。特に、欧米で開発された薬剤が国内に入ってくるのが遅く、それはドラッグ・ラグ問題と呼ばれています。もう一つは入院環境が整っていないことです。海外に比べて日本では専門ナース、CLS、心理士、遺伝カウンセラーなど、闘病中の子どもを支えるスタッフが絶対的に不足しています。また付き添い者のベッドがないなど、病院内設備の改善も必須です。小児がん対策国民会議はこのような問題を根本的に解決すべく2021年に立ち上がりました。皆様のご支援をお願いいたします。

                                           (2024.5.1)

北海道大学小児科学 教授

副代表 米田光宏

小児がんの手術を担当するようになり30年あまり経ちました。この間、小児がんの治療成績は大きく向上しましたが、治すことが難しい病気がまだまだたくさんあり満足できるものではありません。

パンデミック以降、世界の小児がん治療を担当する医師とwebでカンファレンスする機会が増えましたが、欧米で標準的に使われているのに日本未承認のお薬の話が出ると、とても残念で心苦しい気持ちになります。

「なぜ未承認?」「どうしたら承認される?」という問題を克服するために、「小児がん対策国民会議」が貢献できればと思っています。みなさまのご支援が私達の活動の大きなエネルギーになります。

小児がんに苦しむお子さんとそのご家族の笑顔のために、温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

国立成育医療研究センター 副小児がんセンター長・腫瘍外科診療部長
国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍外科 科長
日本小児血液・がん学会理事長

団体概要

団体名小児がん対策国民会議
(英名: National Childhood Cancer Council)
設立日2021年7月1日
活動目的小児がんを取り巻く環境の改善を図り、日本における国際標準の薬剤開発体制の構築促進、療養環境改善等を図り、もって患者、および社会全体の福祉へ寄与することを目的とする。
取り組む活動• 政策提言活動
• 国民に向けた啓発・広報活動
事務局問い合わせ:問い合わせフォームをご利用ください。

運営委員会メンバー  

共同代表井上 富美子認定特定非営利活動法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ 名誉理事長
真部 淳北海道大学小児科学 教授 / NPO法人日本小児がん研究グループ(JCCG)理事長
副代表米田 光宏国立成育医療研究センター  副小児がんセンター長・腫瘍外科診療部長 / 国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍外科 科長 / 日本小児血液・がん学会理事長
事務局長柴田 久典ROSSO TENNIS TEAM 代表
薬剤開発促進
WG座長
小川 千登世国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科科長/NPO法人日本小児血液・がん研究グループ理事/日本小児血液・がん学会理事
療養環境
WG座長
松本 公一国立成育医療研究センター小児がんセンター長
広報林 三枝認定NPO法人ハートリンクワーキングプロジェクト 副理事長
委員石田也寸志愛媛県立医療技術大学 保健科学部臨床検査学  特命教授
今井 千速富山大学・医学系・小児科学講座 教授
近藤 博子公益財団法人 がんの子どもを守る会 副理事長
斉藤 淑子全国病弱教育研究会会長
高田 渉日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部薬事部門長/エグゼクティブディレクター
早川 穫大原薬品工業株式会社 研究開発本部長
菱木 知郎千葉大学医学部付属病院副院長/千葉大学医学部付属病院小児外科教授
前田 美穂日本医科大学名誉教授
松井 基浩東京都立小児総合医療センター血液・腫瘍科
馬上 祐子小児がん患者会ネットワーク運営委員/一般社団法人日本希少がん患者会ネットワーク理事
監 事足立 壮一滋賀県立総合病院総長兼病院長
越永 従道日本大学総合科学技術研究所教授/日本大学医学部名誉教授
山下 公輔公益財団法人がんの子どもを守る会理事長

関連団体

日本小児がん研究グループ

日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group、JCCG)は、2014年12月にNPO法人として設立されたオールジャパンに立脚する小児がんの臨床研究グループです。JCCGには日本で小児がん治療・研究を専門とするほぼ全ての大学病院、小児病院、総合病院(小児がん拠点病院、中央機関、小児血液・がん専門研修施設含む)が200以上参加し、倫理性、科学性を重視した臨床研究を実施しています。
ホームページ: http://jccg.jp/

一般社団法人日本小児血液・がん学会

一般社団法人日本小児血液・がん学会は、小児血液疾患と小児がん領域の学術研究、社会への広報、調査研究及び資格認定等を行うことで、我が国の小児血液疾患と小児がんの医療の向上に寄与することを目的にした学術団体であり、①学術集会、研究発表会、講演会の開催等による小児血液疾患と小児がん領域の学術研究事業、➁学会誌及び論文図書等による小児血液疾患と小児がん領域の広報事業、③小児血液疾患と小児がん領域の調査研究事業、③小児血液疾患と小児がん領域の専門医認定基準の策定、公表および資格認定事業、⑤国内外の小児血液疾患と小児がんに関連する諸団体との連携事業などを実施しています。
ホームページ: https://www.jspho.org/

公益財団法人がんの子どもを守る会

公益財団法人がんの子どもを守る会は、1968年10月に小児がんで子どもを亡くした親たちによって、小児がんが治る病気になってほしい、また小児がんの子どもを持つ親を支援しようという趣旨のもと設立され、子どもの難病である小児がんに関する知識の普及、相談、調査・研究、支援、宿泊施設の運営、その他の事業を行い、社会福祉及び国民保健の向上に寄与することを目的としています。小児がんは医学の進歩に伴って「不治の病」から「治る病気」になりつつあります。しかし、未だ病死順位の1位であること、たとえ治療を終えても小児がんの患児とその家族はさまざまな問題を抱えているのが実情です。当会は患児・家族が直面している困難や悩みを少しでも軽減すべく、多くの方々の支援のもとに活動をしています。
ホームページ: http://www.ccaj-found.or.jp/

認定特定非営利活動法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ

認定特定非営利活動法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズは、1997年10月、小児がん患児・家族を、そして治療終了後の小児がん経験者への支援活動を目的に設立しました。
ホームページ: https://www.millefeuille.or.jp/

小児がん患者会ネットワーク

小児がん患者会ネットワークは、2008年に、小児がん関連団体有志が、メーリングリスト(ML)を利用した情報交換を始めたことをきっかけに、小児がん領域における様々な課題について、同じ経験をした者として、共に考え、力を合わせ、取り組んできました。2022年6月現在、ML参加団体は、院内親の会が26団体、地域別親の会が10団体、疾病別親の会が12団体、経験者の会が1団体、遺族会が1団体、小児がん経験者・家族支援NPO法人が4団体、その他が1団体、計55団体となっています。小児がん関連の情報発信のための継続的なHPの運営の他、小児がんピアサポーター養成研修会(2013年から12回開催)、小児病棟のWi‐Fiアンケート調査をもとにした要望書提出、小児がん薬剤開発推進のためのチェンジドットオーグでの署名活動など、課題解決のための政策提言や社会的活動を協働しています。
ホームページ:http://ssj-gan.net

大原薬品工業株式会社 

大原薬品工業株式会社は、オーファンドラッグとジェネリック医薬品の創薬及び育薬を事業の柱とした医薬品会社です。特に⼩児がん領域を中⼼としたオーファンドラッグの開発・販売や、医療事故防⽌に配慮したジェネリック医薬品の開発・製造・販売に注⼒しています。治療成績の向上や医療環境が⼤きく変化している現在、治療のみならず、医療の質に影響をおよぼす予防、診断、アフターケアにもイノベーションを活かし、Total Healthcare Solution を提供できる企業をめざします。
ホームページ: https://www.ohara-ch.co.jp/

日本イーライリリー株式会社

日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
ホームページ: https://www.lilly.co.jp

認定NPO法人ハートリンクワーキングプロジェクト

当認定NPO法人ハートリンクワーキングプロジェクトは、2012年4月から障碍者手帳を持たなく小児がん経験者の就労困難な方々への就労支援をしています。晩期合併症により、一般就労に恵まれず、手帳がない方々を採用し職業訓練をして社会に出しています。「ハートリンク喫茶」で働きながら様々な資格を取得。ハートリンク喫茶では、給料・賞与・住宅手当・交通費を支払い、資格取得の支援もし、また社会保険・雇用保険等の整備あり、約10年の間に16名の方を採用し既に11名の方は企業へ就職している。
一人一人に合う資格取得をし、コミュニケーション能力を付けている。
個々の能力や体力に合わせ、必要な方には障碍者手帳を受給し障碍者枠での就職支援完了者も3名いる。県外の方で地元に帰りたい方は地元の企業へ送り、残りたい方は新潟県で働いている。
全国各地から募集。就労困難な方は当方へご相談ください。
ホームページ:https://cchlwp.com

認定NPO法人がんサポートコミュニティー

世界最大規模のがん患者支援団体Cancer Support Communityの日本支部として2001年に設立。
がんの影響を受けたすべての人たちがその人らしく生きられるよう、住み慣れた地域で支えられる“がんとひとりで向き合わない”社会をめざし、医療・看護・臨床心理・社会福祉といった専門家によるこころのケアを東京・千葉・大阪・山梨で提供している。
ホームページ:認定特定非営利活動法人がんサポートコミュニティー (csc-japan.org)